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「パリのすり」 パリ フランス―Paris France―

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パリは世界で指折りの大都市。

ファッションや香水で特に有名な場所だが、スリが多いことでも知られている。

10日間フランス初心者集中講座なるものに、無謀にも英語ができるというだけで、3日目くらいから入った私は、そこで日本人の駐在員の奥さんたちに出会う。

一番年上の上等な格好をしている日本人マダムは、「私地下鉄で2回もすられたのよ。」絶対リュックは前がけで気をつけていたのに、そうなってしまったらしい。だからお金は分けて持っているようだ。


現地に家族がいたり、友達がいたりすれば、まだ比較的、すられた後何とかなりやすい。

でも、それが一人旅で誰も知り合いが居なければ警察に駆け込んで、日本大使館に連絡をしてもらって、もしお金を全てなくしてしまったら大使館員からとりあえず借りるしかない。

まず、御財布にクレジットカードが入っていたのならカード会社に即、連絡。

そして現地から一番近いクレジットカード支局から仮のカードを至急発行してもらう。

最悪の場合は旅を中止。でも、続ける場合は家族などに海外送金をしてもらうという手もある。

旅の初心者なら普通、用意周到にいろいろな被害にあったときのことを想定にして、パスポートのコピーにクレジットカード会社の連絡先などをまとめて書いた紙などを用意しているだろう。

何でも慣れた頃に人間は油断する。


以下は私のすられた経験だ。


あれは2003年の12月の大晦日。珍しく日本人の仲良しと日本語で、べらべら大声で喋りながら、パリの中心、レアル駅ビルのショッピング街を歩いていた。

ぼろい格好(ジーンズに着古したタートルネックと友達のお古ダウンジャケット)をしていたが、異国語を喋る女二人組みは完全に目立っていた。

そして、明後日ボストンに行くために、アメリカ用のコンセントアダプターを買いに電気屋さんに入る。

たったの3ユーロに満たない買い物だったけれど、御財布を出して、そこから3枚のユーロ紙幣を抜き取った。

その御財布にはまだ整理されていないレシートの山とこれからネットでチェックするためのクレジットカードが数枚、銀行のキャッシュカードが一枚、その時友達から借りていたアパートの鍵、何でだか、必要のない日本の運転免許まで入っていた。

お金は50ユーロほどだけ入っていただけど、財布はふっくらパンパンに見えた。


電気屋を出た後、私たちは通常女の子二人がするようにショッピングをした。

その年最後の買い物を楽しむ人気商品近くのお客の山の中を何度も通り抜ける。が、二人とも結局、買わず仕舞いに地下からエスカレーターを上ろうとした。

すると、自分のダウンジャケットの中から肩にかけているポーチのファスナーが開いていて、中に何もないことに気づいた。

電気屋から出てまだ30分ほどしか経っていない。


「もしかして…..」蒼白になった瞬間、
「えっ?」と振り返った友人に、「もしかしてやられた…..」

何かが起こったらもう、悔やんでもしょうがない。
ただ、これからできることをやるだけだ。

まず警察へ行く。

「財布をすられた。」と英語で言う。

「そこを出て他の入り口から入って。」とつっけんどんに、片言英語が帰ってきた。
違う入り口から入って、もう一度、「財布をすられた。」と英語で。
その警察官は英語がわからないので、他の人を呼んできた。
そして3回目の「財布をすられた。」
返事は一言。「何もできない。」

「えっ、でも、盗難届けとか出して、後で現金以外は戻ってきたりとかないの?」と食い下がる。
半分のチャラケタ感じにその英語を喋る人は「残念だけど。」と軽く言う。


時間がただただ無駄に過ぎていくようだった。私の頭の中は早くクレジットカード会社に電話をしなければということで占領され始めた。

もう、警察は当てにならないから、即ネットカフェに行く。友人にお金を借り、クレジットカード会社の検索をしてページから電話番号を書き取る。

どの会社もわかりやすくコレクトコールの番号が書かれていない。お金よりも、時間が優先していた。


とにかく目に付く番号を6件ほど、メモして、30分かかる友人のアパートは遠すぎるので、次に国際電話がかけられる電話ショップに行く。(パリには日本の公衆電話みたいなボックスほどに分けられた空間に備え付けられている電話を使って、後でまとめて支払うショップがたくさんある。)

電話をかけまくり、30分ほどで一気に何枚ものカードをストップ。幸運にも一つも使われた形跡はない。

電話代、20ユーロほどを支払って、私たちはそこを後にした。

喪失感と安堵感が同時にやってくる瞬間、2003年最後の悪い運を使い切ったようだった。


いつもぼろい格好をして、一人でパリの地下鉄ではよくい眠りをしていた私。油断をしていた。

お金を持っているとプロのスリに目をつけられたら、100パーセントすられると言ってもいいほどパリには腕利きのスリがたくさんいるらしい。

日本人は、たとえお金を持っていなくてもお金持ちに見られている。


対応策としては、ダミーの御財布に、お金やカードは小分けに分けて持つ。

本当に重要なパスポートや多額の現金を持つときは目立たないように行動し、腹巻みたいな素肌(または下着)にじかに巻きつけるタイプのウェストポーチにファスナーを内側にして巻きつけるといい。


まぁ、ツアーだったらツアー会社や添乗員さんが助けてくれるだろう。起こってしまったことは土産話にすればいい。それはツアーのいいところ。


自由でいるのも時には大変だ。

*写真はパリ街中、ショーウィンドウのかわいいペンギンさんたち*





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